〔少女漫画〕
主人公はイタリアのポンペイで過ごした前世の記憶を持つ男子高校生!ーーという珍しい少女漫画。
自分の大切な人達は前世の自分を覚えていない、という少し重くなりそうな内容ですが、実際は全く逆!
シリアスになりそうなシーンも、主人公である敬大のヘタレさで面白く読めてしまいます♬
『NGライフ』はどんなお話?
あらすじ
『NGライフ』全9巻
著者:草凪 みずほ(くさなぎ みずほ)
冴木敬大の前世は1900年前のポンペイという都市で生活していた青年。自分の前世を覚えている敬大のまわりは前世でかかわった人たちばかり!! 最愛の妻は男子中学生に、大親友だった男は女友達に…などなど、前世とは違う関係に苦悩する毎日で!?
(引用元:amazon.co.jp)
一言で表すと、高校2年生の敬大が送る楽しいスクールライフ(´▽`*)
ただ“普通”の青春を送っているのではなく、前世の壮大な記憶を持つがゆえに、彼の頭の中はいつも大混乱!
イケメンなのに変な言動を繰り返すこともあり、学校内ではある意味人気者です(笑)
そんな中で前世の妻は現れ、更に妻の姉(怖い人)、上司に犬猿の仲だった人まで……。
中には同じ前世の記憶を持つ人もおり、敬大は感動で更におかしな方向にーーー。
という、敬大のパニックさを楽しむ漫画です(笑)
主要登場人物
冴木 敬大(さえき けいだい):前世はポンペイに住む剣闘士、シリクス。記憶を持ったまま転生し、現代では高校2年生。
イケメンで成績も良く、運動神経も抜群だが、記憶を持つが故の挙動不審さとヘタレさで周囲からは生暖かい目で見られている。
芹沢 美依(せりざわ みい):前世はシリクスの親友、ロレイウス(男)。現代では女性に生まれ変わり、記憶はない。
敬大と同い年で、彼に想いを寄せている。一人で暴走する敬大のツッコミ役となっていることが多い。
佑城 裕真(うじょう ゆうま):前世はシリクスの美しい妻、セレナ。現代では男性に生まれ変わり、記憶はない。中学3年生。セレナと同じ顔の為、よく女性に間違われることがコンプレックスにもなっている。芹沢に想いを寄せている。
主人公、敬大の周辺には前世の関係者がたくさんいるよ!
ちなみに両親も、母は前世の妹で、父は前世のライバル。ーーこれは生活が大変そう(汗)
芹沢は敬大が好きで、裕真は芹沢が好きで、敬大は裕真の前世であるセレナが好き?
ややこしい三角関係だ!
草凪みずほ先生について
2003年に『よいこの心得』でデビューをされています。
代表作は現在も連載中の『暁のヨナ』。
こちらの作品は現在35巻まで発売されており、アニメ化に舞台化もされています!
絵柄は、ザ・少女漫画という印象で、特に女の子の目の描き方が可愛くて好きです(*^^*)
先生の作品では『よいこの心得』と、今回ご紹介する『NGライフ』を拝読しており、コメディタッチなストーリーによく笑わせてもらいました!
激しいツッコミや、格好いいキャラが崩れたりする姿は爆笑ものだよ!
NGライフの魅力
白泉社の漫画雑誌『花とゆめ』にて2006~2009年まで連載されていた作品。
同時期に連載されていた『学園アリス』を読むために雑誌を購入した際に出会いました。
主人公が男の子、そしてポンペイで起こった史実を題材にした作品ということで興味を惹かれ読み進めてみた所……面白い!
もちろん前世の部分は史実に沿った内容になっている為、ヴェスヴィオ火山の噴火※のシーンや人々が逃げ惑う姿、そしてシリクス(敬大)とセレナ(裕真)とロレイウス(芹沢)の別れのシーンも描かれているので、やはりそこは切なくなります(´・_・`)
※約1950年前にポンペイにて発生した火山の大噴火。灰は一昼夜に渡り振り続け、その後火砕流(かさいりゅう)が発生し、市は地中に埋まった。
そして転生した敬大は、生き別れた前世の妻と親友に再開できるわけですが、2人とも記憶は持たず。
通常ならここで暗いシーンになりそうですが、そんな事にはならないのが『NGライフ』の良い所^^
魅力1~敬大の性格~
彼の性格が無ければ、ここまで面白いお話にはなっていなかったと断言出来る程、彼が持つ“残念さ”は重要だったように思います。
前世で貴族の傭兵だった敬大は、最期の時に妻であるセレナの側ではなく、自身の使命を全うする為に主の元へ向かった先で命が尽きてしまいました。
……誰よりも大切にしなければならなかったセレナを1人にしたまま。
その記憶と感情は敬大に十分すぎる程引き継がれたまま、裕真や芹沢と感動の再開を果たすのですがーーー、2人とも記憶は無い上に、性別も変わっているというショッキングな展開が待っていました(´・_・`)
ここだけなら重く、暗い物語にもなりそうなのですが、それを阻止したのが敬大の性格。
まず、いつも暴走気味です(笑)
考えている事にしろ、行動にしろ、“残念なイケメン”が似合う男子高校生です(´▽`)
男に転生した裕真のふとした瞬間に見せるセレナの姿に抱き着いてしまったり、ときめいたり、トキメキを抑える為に自ら頭を打ち付けたりといつも忙しそうな所が面白い(笑)
記憶は持たないけど、前世の話を信じてくれている芹沢ちゃんの存在もきっと大きいよね♪
物語りが進むにつれて、他のメンバーも登場し、中には敬大と同じように前世の記憶を持つ者も。
これこそ感動の再開……!
とはいかず、虐げられたりと、中々酷い扱いを受けますが、敬大はめげないどころかむしろ楽しそう(……ドM?)
他に「記憶を持つ人」も、ちゃんと”今”を生きていて、物語を面白い方向に彩ってくれているんだよ!(笑)
魅力2~重すぎないストーリー~
先ほどのお話とも続きますが、基本はコメディで楽しい物語です。
1人で暴走する敬大に、時にはツッコみ、時には悪乗りする芹沢。そして男らしいマッチョを目指す裕真。
他にも、セレナの姉(現男性)や、シリクスの主人(女性)も登場し、日常生活を送りながらも改めて交流を深めていきます。
それぞれが悲しい最期を迎えてしまった事実を持ちながらも、現世を楽しんでいる姿に見ている方も嬉しくなりますよ(*^^*)
個人的にはセレナの姉で大の男嫌いでもあったスミルナが、男性に転生してしまったのに対して、男性であることを謳歌している姿に敬大と同じく愕然としました(笑)
女の子にモテるから楽しいそうで(´ー`)
そして物語りの終盤まで敬大と芹沢と裕真の三角関係は続いていくのですが、前世に固執していた敬大が徐々にポンペイ時代のロレイウスではなく、芹沢自身を意識してくる事によってその均衡は崩れて……⁉
元は格好良い敬大に迫られた芹沢の様子が、わたわたしてて可愛すぎます(/ω\)
少女漫画ならではの恋の行方は読んでいてドキドキしました(*^^)v
中盤、あまりにも敬大が格好良く見えてしまい、「押されるな~」と芹沢ちゃんを応援したくなる謎の気持ちが湧いてきたよ(笑)
敬大が慌てていたり、脳内で激しい自問自答を繰り返しているのを見ると、何故か安心しちゃうんだよね(笑)
最後に
今回の感想を書くにあたり、改めてポンペイの事を調べてみたのですが、ヴェスヴィオ火山の噴火は本当に悲惨で救いようのない出来事でした。
ここまで重い史実を用いながらも、ここまで笑わせてくれる先生の技量に驚きです。
個人的にはその後の彼らの様子を妄想してしまう程、好きなキャラクターが多い作品でした(#^^#)